昨今、腹腔鏡(ラパロ)手術が主流になってきている現代。
皆さんの病院でもラパロ症例がほとんどなのではないでしょうか?
ラパロで手術を行うにあたり必須となるのが気腹ですね。
気腹には気腹圧、気腹流量などの設定があると思います。
その中でベレス気腹・流量というものをご存じでしょうか?
今回はこのベレス気腹について勉強しました。
このように当ブログでは周術期管理チームナースの資格を持つ私が勉強と経験から手術看護にまつわる内容をご紹介していきます。
専門書等をもとにしていますが、各病院や手術室看護師等により考え方や価値観、物品・環境の制限があると思いますので参考程度にしてください。
べレス気腹については、たぶん知ってても知らなくても困りはしないと思います。
しかし、この記事を読んでくれるような勉強熱心な方にとってはより深みのある手術看護につながる内容であると思います。
器械出しは必要な物品、ポート挿入の手順を考える時に。
外回りは気腹を開始する時に。
この記事の内容が参考になるでしょう。
この記事では以下の内容をご紹介します。
ベレス気腹とは? なんでベレス気腹をするの?
もっと知りたいというご意見がありましたら、お問い合わせやTwitterのリンクから質問等をお願いいたします。
もっと勉強してみます笑
この記事を読んで明日の手術看護に生かしましょう!
1.ベレス気腹とは?
ベレスニードルという器具があって、それを利用した気腹の手技、又は気腹機の設定のことをさします。
ベレス気腹の特徴は気腹流量が少なく、気腹に時間がかかるという点です。
針自体が細くて一度に沢山のCO2ガスを流入できないので必然的に流量の設定は低くしないといけないのです。
気腹圧に関しては腹腔内から返ってくる空気の圧を気腹機で測定しているだけなので、制限はありません。
そのため、患者さんの腹腔内スペースが広かったり、気腹圧の設定が高値であるなどの条件が組み合わさると、けっこう気腹が安定するまでに時間がかかる印象です。
2.なんでベレス気腹をするの?
これだけ聞くとデメリットに感じるでしょうが、ちゃんとメリットもありますよ。
それはベレスニードルの構造にあります。
ベレスニードルは針先が二重構造になっていています。まず針先が腹膜に当たっている時は先端が鋭利な刃になっていて、穿破して腹腔内に入ると針の内側から先端が球状をしたスタイレットが突出します。この構造により、刺したい時には刃で貫けて、刺したくない時には丸くなって臓器を保護することができます。
看護師さんによってはポートを入れた際に腸管に穴が空いてしまって、縫合しなければならなかった。
という経験をした方もいるのではないでしょうか。
ベレス気腹では絶対ではありませんが先が鈍である分だけリスクが軽減できます。
腹腔内にちゃんと入ったかどうかの確認方法も確立しています。
1mlシリンジに生食を入れてベレスニードルに付けて渡していませんか?
術者はベレスニードルを刺した後にそのシリンジに血液や体液の逆流や、抵抗なく生食が注入されることを確認していると思います。
あれがドロップテストです。
これは鉗子用のポートではできない手技ですね。
このように多少、手間や時間がかかるといったことはありますが、安全に気腹を開始するといった点ではベレス気腹は良しと言えそうですね。
しかし、残念ながら細い器具になるため、その後のラパロ操作を続けるにあたりラパロ鉗子を入れることはできません。
気腹圧が一定になった後に通常のポートに入れ替える必要があります。
大抵はカメラポートと入れ替えになると思いますので、器械出しはカメラポートの準備が必要になると思います。
3.あとがき
いかがでしたか?
ベレス気腹についての勉強は以上にしようかと思います。
2年~3年目になり後輩の教育に携わるような場面になると、このような突っ込んだ知識が足りないと思うようになることもあるかと思います。
手術室看護師の持つ知識の中には学校でも教えてくれない、教科書にも書いていないようなことが数えきれないほどあります。
私は後輩に教える時には「なんで?って思うことを大切にして」と必ず教えています。
「なんで?」と思えることで、より深い理解を得るチャンスに気付くことができるからです。
ベレス気腹についてもネットで調べると明確に参考になるものはなかなか見つかりませんでした。
なので+αの私の経験と医師からのアドバイスを盛り込んでいます。
今後も需要があれば手術看護に役立つ知識をお送りしたいと思います。
質問や要望があれば「お問い合わせ」やTwitterのリンクがありますので気軽に声をかけてください。
今日もお疲れさまでした。
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