はじめに
腹腔鏡(ラパロ)手術が主流になっている今、手術室で働く看護師にとって「気腹」は避けて通れないテーマですよね。
でも実際に「ベレス気腹」と聞くと、あまりピンとこない方も多いのではないでしょうか。
今回は、ベレス気腹の特徴やメリット・注意点について、私自身の経験も交えながら整理してみました。明日のオペにちょっと役立つヒントになれば嬉しいです。
1. ベレス気腹とは?
ベレス気腹とは、ベレスニードル(Veress needle) という器具を使った気腹法、または気腹器の設定を指します。
- 気腹流量が少なく、腹腔内が広がるまでに時間がかかる
- 針が細いため、一度に大量のCO₂を流入できない
- 気腹圧自体は制限されず、戻ってくるガス量を計測して制御している
つまり「少しずつ、ゆっくり安全にお腹を広げていく」イメージの気腹法なんです。
2. なぜベレス気腹を使うのか?
「ゆっくりで時間がかかるなら不便じゃない?」と思うかもしれません。
でも、そこには明確な理由があります。
ベレスニードルの構造
針先が 二重構造 になっており、腹膜に到達すると先端が丸いスタイレットに切り替わる仕組みです。
これにより、腸管や血管を損傷するリスクを減らすことができます。
ドロップテスト
1mLシリンジに生理食塩水を入れてベレスニードルに接続し、スムーズに流れ込むかどうかを確認する方法です。
この確認ができるのもベレス気腹ならでは。安全性を高める工夫のひとつですね。
3. 実際の現場での注意点
とはいえ、ベレスニードルは細いのでそのままでは鉗子やカメラを入れることはできません。
- 気腹が安定してから、通常のポートに入れ替える必要がある
- 多くの場合、カメラポートに差し替えるので、器械出しはその準備が重要
私自身、以前ポート挿入のときに腸管に小さな穴が開いてしまい、縫合対応になった場面を経験しました。
ベレス気腹は万能ではありませんが、こうしたリスクを減らす一助になると実感しています。
4. あとがき
いかがでしたか?
ベレス気腹について「なんとなく聞いたことはあるけど詳しくは知らなかった」という方も多いと思います。
私が後輩に指導するときは、必ず「なんで?」を大事にしてもらっています。
「なぜこの方法を使うのか?」と考えることで、理解が深まり、結果的に安全な看護につながります。
ネットで調べてもまとまった情報が出てこないテーマだからこそ、少しでも現場で役立つ形で知識を共有したいと思っています。
これからも、皆さんの学びにつながるような記事を書いていきますので、気軽に読んでもらえると嬉しいです。
今日もお疲れさまでした。

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